2nd内旋 < スキャプラ内旋を考えていきましょう!
前回の記事に書いた事ですが、関節の運動制限があった場合、まず表層から評価していきます。
2nd内旋 < スキャプラ内旋
この場合、怪しいのは棘下筋下部線維や小円筋辺りですね?
なぜかと言うと、2ndポジションは90°外転位であるので、下方の組織は伸張されますよね?
この姿位から内旋していくので、この⭕️で囲った部分は制限因子になりますね!
では、棘下筋下部線維や小円筋を指圧しても可動域に変化がない場合はなにが考えられるでしょうか?
前回お伝えした評価で表層から深層に向けて評価していくとお伝えしましたね?
なのでインナーマッスルを指圧しても可動域に変化がなければ次は順番的に関節包を疑います!
2ndポジションは水平外転位であるため、後方関節包はゆるんでいますが、90°外転位のため、下方関節包は伸張されています。
また、90°外転位となる際、骨頭の転がり運動だけではなく、大結節と肩峰が衝突しないように、骨頭の下方滑りという動きが生じます
この、下方へ滑ってきた骨頭を下からハンモックのように支えるのが関節包の評価part2で学んだ腋窩陥凹です。
関節包の評価part2では、外転や屈曲の可動域は大きいため、必然に下方の関節包は体積が大きくなり、下方がたるんでいるとお伝えしました。
なので、この腋窩陥凹がしっかりと伸張性を保ち、下方のアコーディオンカーテンがしっかりと引き出される事が外転位を取る条件になります。
腋窩陥凹? アコーディオンカーテン?と思ったら関節包評価part2を読んでください。
赤色の矢印を見てください。
わたしの下方関節包はしっかりと伸張し、アコーディオンカーテンもしっかりと引き出されているので、赤矢印のように肩に窪みが現れます。
これは、上記で記載した骨頭が下方滑りをしている証拠です!
では、この肩の窪みが出ない人はどの様な事が考えられるのか?
これを理解するのは、トランスレーションという理論を理解しなければなりません。
詳しくは別の記事で紹介しますので、簡単に説明すると
組織が柔らかい方向へ骨頭を偏倚させる!
例えば、下方の関節包が硬くて伸張性がなくなってしまっている場合、その状態で肩を挙上すると反対の上方へ骨頭が逃げていく動きが見られます。
これを、組織が柔らかい方向へ骨頭を偏倚させるという法則に当てはめると
挙上していく事で上方の関節包は緩んでいき、硬くなってしまった下方の関節包はさらに伸張を強いられるので
柔らかい方向の上方へ骨頭が逃げていきます。
その為、本来外転90°では肩峰と衝突しないように下方に滑っていかなければならない骨頭ですが、
下方の関節包が硬くなってしまっている場合、骨頭が下方に滑れなくなり
柔らかい上方へ骨頭が逃げてしまいます。
そうすると
この赤い矢印の窪みが生じなくなります。
骨頭が下方滑りできていない証拠ですね!
肩を動かした時にでるこの窪みを日頃から触っていると、下方滑りしていない肩を触った時に瞬時に異変に気づくことができます!
日々触る練習は大事です。
さて、2ndポジションで内旋可動域に制限がある場合に診てほしいポイントは
先ほど説明した肩の窪みです。
肩の窪みが現れない場合は、下方関節包(腋窩陥凹)が硬いことが考えられると先ほど説明しました。
腋窩陥凹が硬くなると、下前方や下後方の関節包にも影響が生じる想像はできますか?
写真で説明してみます。
青が腋窩陥凹だとして赤が後下方関節包と思って下さい。
関節包は肩関節を一周取り巻いているので内旋していくときは、内旋の動きに合わせて腋窩陥凹も後下方関節包も内旋方向に引っ張られていきますよね!
しかし、腋窩陥凹の伸張性が悪くなり腋窩陥凹が内旋方向へ伸張できなくなると、硬くなった腋窩陥凹の方向にも、後下方関節包は引っ張られてしまいます。
2nd内旋 < スキャプラ内旋
この理由分かりましたか?
2nd姿位よりスキャプラ姿位の方が腋窩陥凹は伸張が少ない姿位です。
腋窩陥凹の伸張性がもし失われていた際
腋窩陥凹が伸張される2ndポジションをとると、腋窩陥凹の伸張できる範囲がさらに狭くなります。
なのでスキャプラ姿位で腋窩陥凹があまり伸張されない姿位の方が内旋可動域が大きくなるという訳です。
ちなみに、腋窩陥凹の伸張が悪くなると、2nd内旋だけでなく、同じ理由で2nd外旋も硬くなります。
長くなりましたが、まとめると
まずはこの窪みがしっかりとでるか?
これを確認しましょう。
この窪みが出ない場合は、本当は下方に滑りたい骨頭が逆に上方に動いてしまっています。
この状態で2nd内旋や2nd外旋の可動域が悪いからといって、その方向に可動域訓練を行ってもよくなりません。
とは言いませんが、この制限を作っている原因が腋窩陥凹であるならば、効果的とは言えません。
なぜなら、腋窩陥凹は骨頭が下に下がってきた時に伸張されるため、内外旋の動きでは効果的に伸張されないのです。
なので、お伝えしてきた関節包の評価を行い
腋窩陥凹の伸張性が足りず、内旋、外旋の可動域にも影響を及ぼしているのならば
内外旋の可動域訓練が第一選択になるのではなく
徒手でこの窪みを誘導するような関節操作の方が効果があると思いますよ^_^
ちなみに、骨頭を上方に引き上げてしまう原因として、関節包だけではなく筋が原因になる場合があります。
臨床では筋による問題の方が多いです。
この記事も書くので是非見てください!https://www.rihabiri-dootocoi.com/関節包評価%E3%80%80臨床編part6/